この度、函館市青柳町(護国神社下)にある、昭和8年に建てられた函館市公民館の改修工事が完了致しました。左上の写真は外観正面の改修前・後の写真です。当時の良さを残しつつ、また復元等も考慮しながら、リニューアル致しました。主な工事内容は、長寿命化と耐震補強とバリアフリー化です。古い建物であり、昔の石炭の影響でコンクリートの中性化が部分的に進んでおり、中性化を遅くし、錆の発生を防ぐ処理などを施したり、構造部材の補強なども施しました。環境・利便性面では、地下へ階段を使用せずともアクセス出来るように、スロープとエレベーターを設置しました。また、断熱面が劣っていた事と漏水か所などもありましたので、断熱補強と防水処理などを施しました。その他にも、内装に関しては主要部屋は、ほぼ全面改装し、近年に改修した部分は全て取り壊し昔の形に限りなく戻す形で復元しました。やはり、良いものは何年経っても変わらぬ良さと雰囲気がありますね。とても洗練されたフォルムです。この年代には珍しい鉄筋コンクリート造の建物です。
左真ん中の写真は、事務所棟と呼ばれている管理部門のスペースです。現在は管理者の執務室となっていますが当時は元々倉だったようです。経年劣化により、外壁は痛み、カビや苔が生えていました。また、木製のサッシだったため寒く、今回窓周り断熱サッシに全て取替えました。こちらはなんと!明治20年頃の建物の様でして、組積造(レンガ積)です。
左下の写真は、通称「石舘棟」と言い、石舘さんから寄贈されたため、その名を残したようです。こちらも明治20年頃の建物となっており、木造です。こちらは、本来もっと大きな木造の住宅が付設していたのですが、老朽化が酷く、倒壊の危険性が高いと判断され、数年前に解体撤去され、今はかつて応接室として使用していた部屋と玄関・廊下の一部だけが残っている状態です。いずれも、見ると当時の函館の活気や技術力の高さが垣間見られます。とても素敵な建物ですので、機会がありましたならば、是非一度見学して頂ければ嬉しく思います。
2015 函館市公民館改修工事(その①)
by master ギャラリー